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優遇金利制度は住宅ローン販売拡大のためのツールに過ぎないということである。
その相手側の本音を知り、仕組みを十分に理解して、逆にそれを利用してうまく金融機関を使いこなすぐらいの対応ができればいいのだが、誰もがそうできるとは限らない。
では、目先の金利という餌に釣られてしまうとどんなことになるのか。
特約期間の短い固定期間選択型のリスク二〇〇五年春まで、ほとんどの金融機関で当初の金利が一・〇%あるいはそれ以下のローンがあった。
これは固定期間選択型の特約期間が二年、三年の短いタイプで、店頭表示金利が二二二%のところを一・三%優遇して一・〇%にする、一・四%優遇して〇・九%にするといった仕組み。
つまり、あくまでも二年、三年間の優遇金利に過ぎず、その特約期間が終了すれば自動的に店頭表示の二・三%の金利に戻ることが確定しているのである。
しかも、その間、金利が上がっていれば次に通用される金利は二・三%以上になる。
それが返済額にどのような影響を及ぼすのか!その数字が実は、たいへん恐ろしいものになっているのである。
借入額三〇〇〇万円、三五年の元利均等返済で、ボーナス返済しないときの金利一・〇%の毎月返済額は八万四六八五円。
本来の店頭表示金利二・三%だと一〇万四〇五九円だから、二万円近くも返済負担が軽くなる。
その数字だけをみると何とも嬉しい限りだが、問題はその特約期間を過ぎた三年後からの返済額である。
三年間まったく金利の変化がなかったとしても、金利二・三%の店頭表示金利に戻るとすれば、それだけで毎月返済額は一〇万二四一五円になる。
当初の八万円台の返済額に比べて二〇・九%の増額である。
現在のような金利情勢では、二〇〇四年、二〇〇五年にこのローンを利用した人だと、金利が大幅に上がっている可能性が高い。
すでに二〇〇六年四月現在で、メガバンクの固定期間選択型の特約期間三年の店頭表示金利は二・七〇%程度に上がっている。
この段階で三年が経過した人だと、毎月返済額は一〇万八二七二円になる。
当初に比べると二七・九%の増額になる計算だ。
二〇〇六年の後半、二〇〇七年、二〇〇八年に特約期間の満三年に達する人の場合には、もっと上がっている可能性が高い。
仮に借り入れたときの店頭表示金利二・三%より一・〇%上がっていると毎月返済額は一一万円台に、二%のアップだと一三万円台に、三%で金利2%のアップでも約6割の増額。
4%以上のアップなら2倍以上になることも!は一五万円台になる。
当初の返済額からの増額率をみると、一%の場合で三八・六%、二%で五七・六%、三%では七七・八%になる。
そんなに上がるとは考えにくいが、仮に四%アップだとほぼ二倍の返済額になり、五%だと二・二倍以上の返済額に増えてしまう。
先にも触れたように、過去の金利上昇局面をみると、一年で二%程度上がったケースもある。
超低金利期間が長かっただけに、そうした過去の記憶が随分と薄れてしまったが、二〇〇五年の九月から二〇〇六年四月までの半年間で、固定期間選択型の金利は特約期間にかかわらずに〇・四%から〇・五%程度上がっている。
今後「ゼロ金利政策」が解除されて、本格的な金利引上げが実施されたときには、半年で〇・五%どころか、一年で二%上がるといった変化が起こったとしても決して不思議ではない。
固定期間選択型にはク二五%ルール〟はないあるとき突然、それまでの毎月一〇万円の引落し額が一五万円、一六万円に増えてしまうという事態が訪れる可能性が高いわけだが、なかには、″二五%ルール〟が適用されて返済額の増額は抑えられるのでは1と思っている人がいるかもしれない。
しかし、〝二五%ルール〟というのは、変動金利型に適用される制度で、固定期間選択型にはその縛りはない。
極端ないい方をすれば、増額幅は天井知らずということなのである。
二〇〇四年、二〇〇五年に住宅ローンを借り入れた人では、この金利タイプのローンを利用している人が圧倒的に多かった。
そうした人は、いま、「住宅ローン金利が上昇」といった新聞やテレビの報道などをみながら、眠れぬ夜を過ごしているのではないだろうか。
ただ、それでもいま気づけば、次の第4章で紹介するように、ある程度の対策を施すことができる。
若干は返済額が増えることになるが、それでも将来的な返済額増額リスクを格段に小さくすることが不可能ではないのである。
恐れたり嘆いたりするだけではなく、現実的な対応策をとることが大切なのである。
金利上昇で自分のローンがどんなふうになるのか気づくことが肝心であり、それに気づかずに放置している人は、やがてローン破綻への道が待っている。
その意味では、不安と戦っている人はまだ救いがあるといってもいいだろう。
重要なのは、その不安を解消するために一歩前に躇み出すことだ。
このリスクの大きさを知れば、これから住宅ローンを利用しょうと考えている人は、まず、固定期間選択型の特約期間が短いローンを利用候補先から除外するのが大原則になる。
実際、この固定期間選択型の金利一・〇%やそれ以下の超低金利ローンの牽引役となってきたメガバンクでも、最近ではこうしたローンのPRを抑制する傾向が強まっている。
新聞広告やテレビコマーシャルでも影を潜めている。
ローン販売の現場でも、「借入額が少ないために、借入期間を極端に短くできる人や、年収が高くある程度のリスクを負えるという人以外には、基本的には勧めない。
できるだけ安心できる固定期間一〇年以上のローンを勧めるように指導している」(メガバンク個人ローン部門幹部)とするところが多い。
繰り返しになるが、これから住宅ローンを利用するのなら、全期間固定金利型や固定期間選択型でも特約期間が一〇年以上のローンが大原則ということになる。
すでに固定期間選択型の特約期間二、三年タイプのローンを利用している人は、早急に次章で触れるような対策をとらないとたいへんな事態になる。
変動金利型に隠された〝未払い利息〟のリスク変動金利型にもリスクがある。
変動金利型には〝二五%ルール〟が適用されるから安心と思い込んでいる人がいるかもしれないが、それはたいへんな間違いなのである。
確かに、金利が上がったとしても、当初五年間は返済額が変わらず、六年目からの増額も二五%までに抑えられる仕組みになっていることは間違いない。
その点では固定期間選択型のように一時にドカンと大きな衝撃がやってくることはないわけだが、それでも二五%の増額になると家計への影響は小さくはない。
しかも、二五%までに抑えられても、その裏では恐ろしい事態が進行している可能性がある。
ドカンと一時的な衝撃がこない反面、ジワジワと長い時間をかけてボディブローのように利用者の家計に影響を与えていく仕組みになっているのである。
目に見えにくいだけに、むしろそのほうがたちが悪いという考え方すらできる。
どういうことなのか。
それが〝未払い利息〟のリスクなのである。
金利が大幅に上がった場合には、当面の返済額の増加幅は二五%に抑えられても、その後は毎月キチンと返済しているのに、元金が少しも減らないどころか、むしろ逆に増えてしまうということが起こる。
それが〝未払い利息〟の恐ろしいところだ。
やはり三〇〇〇万円のローンを、三五年の元利均等返済で利用するときの例をみてみょう。
店頭表示金利の二・三七五%で借りたとすれば、毎月の返済額は一〇万五二四九円になる。
この返済額は五年間変わらないし、六年目から増額になる場合には、〝二五%ルール〟によって一・二五倍の一三万一五六一円が上限になる。
しかし、この間に金利が上がるとどういう事態が起こるのか。

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